〇患者さんにやってほしくないこと

 今回は治療内容ではなく、歯科医院にとって困ってしまうことや治療を行うにあたって患者さんが注意して頂きたいことをお伝えします。治療する前やこれから予約を取りたいと思っている方には是非注意して頂きたい内容です。歯科医院の経営や裏側などの話になるのですが、患者さんにとって非常に大切な事なので参考にして頂けると幸いです。

【目次】

・患者さんに注意してほしい事。ケース①キャンセル 

・キャンセルされる場合に予想されること

・患者さんに注意してほしい事。ケース②予約なし来院

・予約なしの場合に予想される事

・その他に患者さんに気をつけてほしい事

・まとめ

〇患者さんに注意してほしいこと。ケース①キャンセル

患者さんに気を付けてほしいことを結論から言うと、

それは

「キャンセルすること」

です。

病院やレストラン、宿泊施設などは予約をしてからそこに行くと思います。

しかし、なぜか診療所など比較的一般的な歯科医院において、患者さんは予約を重要視していない気配が見受けられます。

特にキャンセルについてはそれが言えます。

病院ではあまり聞きませんが、レストランや宿泊施設はキャンセルポリシーがあることが多く、数日前や前日のキャンセルでキャンセル料金が発生することは普通です。

中には歯科医院でも導入している場合もありますが、ほとんどが導入していない状況です。

その為、患者さんの中には予約を簡単に連絡なしにキャンセルしてもよいと考えている方もいます。

●予約のキャンセルが意味すること(患者編)

患者さんの立場からすると、予定の治療行為はいつでも「時間があるときに受ければよい」と考えているかもしれません。

しかし、治療には「段取りとタイミング」がほぼ決まっており、いつでも良いというわけではありません。

例えば、神経を取る治療を受けた場合、その後長い期間を放置しておくと、

細菌感染を起こし歯を抜かなければいけなくなることもあります。

このように、治療は「適切なタイミング」で「適切な処置」を受けなければうまく進まないわけです。

この、適切なタイミングと処置を「治療計画」と言いますが、

患者さんが自ら治療計画を放棄することになるわけです。

●予約のキャンセルが意味すること(医院編)

歯科医院は基本的に何人かの従業員で働いています。歯科医師、歯科衛生士、受付、歯科助手が主です。

診療所の中には歯科技工士や保育士などもいることがあります。

当たり前かもしれませんが歯科医院も患者さんがくることによって経営が成り立つので、患者さんが来ない時間帯がある事は医院にとってマイナスになります。

「急な仕事でいけません」。よくキャンセルのお電話で聞く言葉です。

しかし私たちにとっても治療することは「仕事」です。

●キャンセルするときは、、、

突然当日に予定ができてしまうと、体調を崩すことは勿論やむを得ません。仕方がない事だと思います。

しかし、本音は電話一本して欲しいところです。

診療所としては、来院されると思って使用器具・機材を準備し、治療する椅子(ユニット)や人員を確保しておきます。

機材などは他の患者さんでも使えるから良いじゃないかと思うかもしれませんが、そこにいる従業員の人件費や光熱費、ユニットを確保する時間の全てが無駄になってしまい必ずマイナスの要素が多くなってしまいます。電話があれば他の患者さんをその時間帯で診察することや急患の対応が可能となります。

〇キャンセルされる場合に予想されること

他院で聞いた話です。

何回かキャンセルされる方における歯科医院の対応としては、キャンセルが多い患者さんとしてレッテルを張ります。

そしてレッテルを張られた患者さんは、予約を取ったとしても来ないと想定して、ほかの患者さんの予約を入れてしまいます。

ユニットの空き時間をなくして他の患者さんを診るためです。

ただ、実際に来院された場合には勿論対応しますが、予定していた内容よりも早く終わる可能性があります。

「来るか来ないかわからない患者さんにきっちり時間を取ることは不経済」というわけです。

もちろんレッテルを張られた患者さんの治療は遅れますが、患者さん自ら治療計画を放棄していますので「良いでしょう」という解釈です。

皆さんがこういう扱いを受けることは嫌だと思うでしょうが、経営していくためにやむを得ないといえます。

結局は患者さんにとって不利益を生じる可能性があることを知っておいて下さい。

〇患者さんに注意してほしいこと。ケース②予約なし来院

患者さんの中には痛いから急に来院したり何かのついでに来院したりする場合があります。歯科医師には応召の義務という法律があり、この場合には例外を除いて患者さんを受け入れなければならない法律があります。

従って対応はするのですが、予定外の治療になるので時間が確保できません。痛い場合であれば応急処置でしょうし、歯石取りなどでは全体的に行う事は難しくなります。

偶然に他の患者さんのキャンセルや予約が入っていなかった場合などは時間にゆとりがあり治療時間も確保できるでしょう。

しかし、一般的には予約している患者さんがいるので割り込みになります。予約している患者さんの治療時間を削って、割り込みした患者さんの治療をすることになってしまいます。

その対応に時間がかかると、次に予約している患者さんを待たせることにつながります。予約時間が過ぎているのに案内されないことがある時はそういうケースがあります。

〇予約なしの場合に予想される事

予約なしの患者さんは診察することは可能ですが、非常に長く待つ事があります。残念ながら予約の患者さんを優先しなければ、予約をして頂いている意味がなくなってしまいます。

混んでいる歯科医院であれば1時間以上待つ事も考えられます。なるべく早く対応したいと思っても難しいのが実際です。

治療の内容も他の医院では『ここまでやってくれたのに』と思う事があるかもしれないですが、割愛せざるを得ないことも知っておいていただけると幸いです。予約を取って後日時間を確保してから進めることになると思います。

〇その他に患者さんに気をつけてほしいこと

たまにアポイントの時間や休診日の変更を求められることもあります。

「仕事が遅いから遅くまで対応してほしい。」

「この曜日が休みだからこの曜日に予約をとりたい。」

といった訴えです。

結論から言うと厳しいですがそれは困難です。

歯科医院には歯科医師だけでなく様々な職種が関わって成り立っています。ある特定の方の都合に合わせることはできませんし、歯科医療もボランティアでは経営できません。

したがって、患者さんにお願いしたいことは事前に通院する歯科医院は何時まで治療してもらえるのか、休診日はいつなのかという基本は調べてから予約を取るようにお願い致します。

最近ではホームページなどに記載がありますし、無ければ電話で確認をしてから予約を取りましょう。従って、継続して治療を行う際に通院が困難であれば歯科医院を変えることも検討しなくてはいけません。

どうしてもその医院に通いたいのであれば、患者さん自身の都合を変えて頂くしかないのです。

中途半端に治療を行い、その後通えなくなると治療は上手くいきません。最悪現在より状況が悪化する恐れもあります。しっかりと通える歯科医院を探すようにしましょう。

どうしても緊急性を要する時の対応も記入すると良いかもしれません

〇まとめ

今回は予約の取り方やキャンセルについて記述してきました。

歯科医院における予約システムは患者さんからあまり重要視されないことが多いように思います。

キャンセルが多い方は痛くなければ行きたくないという心理があるのかもしれません。

しかし、医院や他の患者さんそして患者さん自身にとってマイナスの影響しかないので注意して頂きたいと思います。