こんにちは

虫歯治療では、虫歯で失われた部分を人工材料で補う治療が行われます。

現在主流の治療法は、コンポジットレジン、インレー、クラウンの3タイプです。

それぞれに特徴があり、虫歯の状態に応じて使い分けています。

そこで今回は、虫歯治療の選び方についてご説明します。

〇コンポジットレジン

コンポジットレジンは、プラスチックタイプの詰め物で、現在では、専用の光照射器を使って、光を当てて固めるタイプが主流になっています。

また、コンポジットレジンには歯に接着する性質もあります。

●メリット

歯の色に似ているので、治療した痕が目立ちにくいです。

基本的に削ったその日のうちに詰めて治療が終わるので、治療が1日で済みます。

歯に接着させるため、削る量を最小限にとどめられます。

金属材料を使っていないので、金属アレルギーの方も安心して受けていただけます。

●デメリット

前歯のように見えやすいところでは、歯の形にフィットするようにきれいに詰められますが、奥歯のような見えにくいところでは、きれいに詰めるのは困難です。

大きな虫歯に使うと、外れたり欠けたりしやすいです。

エナメル質と比べると、その内部の象牙質との接着性は低いです。

長い目で見ると、変色したり表面が荒れてきたりします。

光照射器が届かないところは、治療できません。

〇インレー

インレーは、歯の噛み合わせ面の溝や窪み部分をに沿った虫歯に使う詰め物です。

保険診療の適応を受けたインレーは、金属を使ったタイプとコンポジットレジンを使ったタイプがありますが、強度の点から金属製が主流です。

●メリット

インレーは、歯型を取って作りますので、奥歯の見えにくいところでも歯に合わせた形にしやすいです。

金属製のインレーは強度が高いので、噛み合わせの力にも十分耐えられます。

●デメリット

金属製のインレーは、目立ちやすいです。

歯型を取ってから作るため、何日か通院しなければなりません。

インレーは歯に接着しないので、外れにくくするために健康な歯の部分も削る必要があります。

コンポジットレジン製のインレーは、強度が低いので割れたり欠けたりしやすいです。

〇クラウン

クラウンは、歯全体、もしくは歯の広い面積を覆う被せ物です。

保険診療の適応を受けたタイプでは、いわゆる銀歯という金属製のクラウンに加え、CAD/CAM冠というプラスチックタイプのクラウンがあります。

●メリット

金属製クラウンは強度が強く、噛み合わせの力にも十分耐えられます。

歯全体、もしくは歯の広い面積を覆うので、歯の薄いところができにくく、歯をしっかり守れます。

CAD/CAM冠は、金属アレルギーの方でも問題なく使えます。

●デメリット

金属製のクラウンは、目立ちやすいです。

CAD/CAM冠は目立ちにくいですが、金属製クラウンと比べると強度が弱く、すり減ったり割れたりしやすいです。

歯型を取って作りますので、治療のために数日通院しなければなりません。

〇治療法の選び方

虫歯治療の方法をご紹介しましたが、続いて治療法の選び方についてご説明します。

医療では適応症といい、症状にあった適切な治療法を選ぶ必要がありますが、虫歯治療も同じです。

ここで提示したものは、あくまでも一例ですので、ご注意ください。

●前歯部の小さな虫歯

前歯部にできた小さな虫歯は、コンポジットレジンで治療します。

前歯部の虫歯をインレーで治すことは稀です。

●奥歯の小さな虫歯

奥歯の小さな虫歯の場合、その虫歯が噛み合わせ面にできているだけなら、コンポジットレジンで十分治せます。

歯と歯の間にできた虫歯、もしくは噛み合わせ面から歯と歯の間に広がった虫歯は、インレーにする方がいいでしょう。隣接面はコンポジットレジンできれいに形をつけることができません(例外:前歯)

●一つの歯に何箇所かある前歯の虫歯

前歯に何箇所かの虫歯ができている場合は、コンポジットレジンで治すことが多いです。

ただ、何箇所かの虫歯を削ると、大きな一つの穴になってしまうような場合は、神経をとって差し歯にすることもあります。

そうなるとクラウンの適応症となります。

●一つの歯に何箇所かある奥歯の虫歯

一つの奥歯に小さな虫歯が何箇所かできている場合は、インレーで治すことが多いです。

虫歯を削ると残された歯の厚みがとても薄くなってしまうことがあります。

そのままインレーにすると歯の薄いところから歯が欠けてしまい、再治療しなくてはならなくなることが多いです。

そのため、インレーではなくクラウンを選び、歯を覆うことで歯を守るようにします。

●大きな穴が開いている虫歯(神経まで距離がある場合)

虫歯で大きな穴が空いているけれど、まだ歯の神経までは距離があるという場合、神経を残したまま、クラウンで治します。

これは、前歯にも奥歯にも共通です。

深い穴の場合、最深部に覆髄剤という痛みにくくする薬を詰めておくこともあります。

●大きな穴が開いている虫歯(神経に近い場合)

歯の神経に届くほど大きな虫歯、もしくは歯の神経の穴が露出するほどの大きな虫歯では、歯の根の治療をまず行います。

そして、芯を立ててから、クラウンで治します。

〇インレー?それともクラウン?

インレーにするか、クラウンにするか、虫歯のサイズが小さい、もしくは大きいとはっきりしているなら選ぶのは簡単です。

ところが、中にはインレーにするかクラウンにするか微妙な虫歯もあるのも事実です。

クラウンをかぶせるためには、健康なところを含めて歯全体を削らなくてならないので、歯が小さくなってしまいます。

歯が小さくなるのは、確かに良いことではありませんし、誰でも、歯を削りたくないものです。

そこで、極力削らないようにしてインレーにすると、しばらく経ってから歯が欠けてしまうことがあります。

すると、クラウンにすることになるわけですが、欠け方がひどいと、抜歯しなくてはならなくなることもあります。

インレーで治すか、クラウンで治すか、悩ましい問題です。

最終的には主治医が「行った治療に対する責任を負う」ことも含め決断し、お勧めすることになります。

どういうことかというと、

例えば、「明らかにクラウンで直すべき症例であるのにインレーでの治療を要請」されても引き受けることができない、ということです。

〇まとめ

今回は、虫歯治療の選び方についてお話ししました。

現在主流の治療法は、

①コンポジットレジン

②インレー

③クラウンです。

虫歯の位置、形、深さなどを確認し、これら3つの中から適した治療法を選びます。

虫歯は、単純な形から、小さな穴が数箇所できているような複雑な形までさまざまです。

どの治療法が適しているのか、絶対にこれが正しいという答えはありません。

このため、虫歯治療に際しては、専門的な知識だけでなく、長年の治療経験が欠かせないのです。

当院では、虫歯治療の専門知識に加え、豊富な治療経験も備えています。

虫歯治療でお困りの方や、詰め物や被せ物が外れやすくて困っている方など、当院に是非お越しください。