〇見た目だけではない矯正治療における恩恵
歯の矯正治療と聞くとパッと思い浮かぶのは、歯並びの改善ではないでしょうか。もちろん歯並びを改善することは、見た目や第一印象を大きく左右する要因となります。
しかし、見た目だけではなく噛み合わせや歯磨きのしやすさなど様々な改善を行える処置になります。矯正治療は保険治療ではないので、高額になることや治療期間が長くなることがネックとなることが多いです。
それらを乗り越えられれば、矯正後の恩恵は大袈裟ではなくその後の人生を変えるかもしれません。
今回は矯正治療におけるメリットやデメリットを確認したいと思います。
【目次】
・歯並びの改善をすることによるメリット
・治療におけるデメリットとは
・マスク生活を逆手にとって
・まとめ
〇歯並びの改善をすることによるメリット
ワンポイント
矯正治療は見た目の改善だけでなく、歯並びや噛み合わせを変えて環境を改善する。
まず、治療において大切なことは診査と診断です。これを間違ってしまうとゴールを間違えてしまいます。
最初にどこに問題があるのかを抽出して、どの様に治療をするのか様々な診査や検査を行い治療方針を決めます。
矯正治療をする方の全員が行うわけではありませんが、極端な出っ歯や受け口の方の治療においては成人の場合では全身麻酔を行い、顎の骨を削る処置を行うこともあります。
この様な大きな矯正治療では顎の骨から噛み合わせを変え、個々の歯並びも変えるという大掛かりな治療になります。
このことからもわかる様に、単に歯並びを変えるだけが矯正治療ではないのです。噛み合わせを変えて口の中の環境も変えていくことも矯正治療の範疇です。
矯正治療におけるメリット
①審美的な改善
②咬み合わせの改善
③歯磨きのしやすさ等の口腔環境の改善
が挙げられます。
それぞれメリットを確認しましょう。
●①審美的な改善
矯正治療をすると一番目に見えて変わるものは歯並びです。それにより審美的な改善が期待できます。きれいな歯並びは他人からも好印象ですし、矯正治療を頑張った自分にも自信がつくでしょう。
●②咬み合わせの改善
歯並びを変えると噛み合わせも変わります。噛み合わせが変われば、食べ物をしっかりと咀嚼することができる様になります。前歯で噛み切り、左右の奥歯ですり潰す動作がしっかりと行えるようになります。
●③歯磨きのしやすさ等の口腔環境の改善
歯並びの状況として歯が前後や内外に倒れて生えていたり、位置が変わって生えていたりする場合があります。
このままだと歯磨きの際に清掃が困難となり、虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます。
綺麗に清掃しようとすると多くの時間を費やしてしまうでしょう。しかもそれを毎日しなくてはいけません。
矯正で歯の位置が正常になれば、清掃がしやすくなり虫歯などのリスクが下げられ、歯磨きの時間も短縮できます。毎日のことなのでその恩恵は大きいです。
矯正治療は早めに行うと恩恵を受ける期間が長くなります。例えば90歳まで生きるとすれば、20代や30代で矯正をするのか、50代や60代から矯正をするかで、早くおこなった方が長く治療の恩恵を受けられることは想像しやすいと思います。
治療をしたいと思った日が人生で一番若い日なので、迷ったら相談する様にしましょう。
〇治療におけるデメリットとは
ワンポイント
矯正治療は自由診療の治療となり高額、治療期間も年単位となり根気が必要。そのほかにも注意点あり。
矯正治療は前述の様にメリットもありますが、デメリットもあります。
デメリットとして、
①費用
②痛み
③長期間
④見た目や発音
が挙げられます。それぞれ見ていきましょう。
●①費用
矯正治療は保険診療が認められていません。歯科医院によって値段設定が異なりますが、数十万円単位での費用が必要となります。
●②痛み
矯正治療は歯を動かす為に器具を歯に装着して動かしていきます。
一般的に成人の矯正の場合には「マルチブラケット」と呼ばれる、歯に金属の器具をつける処置が多いです。この器具が唇や頬を傷つけることがあります。
また、ワイヤーの弾性エネルギーを利用して歯を動かすのでワイヤーを入れた後の痛みがあります。
その他に、歯並びを綺麗にするためのスペース確保のために健全な歯を抜歯をすることがあります。
●③長期間
歯を動かすには長い時間が必要です。強い力ですぐに動かせば良いのではと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
歯は歯茎から出ている歯冠と骨に埋まっている歯根に分けることが出来ます。矯正治療により歯を動かす際には、歯を支える骨(歯槽骨)に負荷がかかり骨が一部吸収することにより歯が動きます。
しかし、矯正治療において過度な強い力を歯にかけていくと、歯を支える骨だけでなく、歯自体が壊れてしまい歯根が短くなる場合や根自体が吸収することがあります。時として歯の根が割れることもあります。
また、歯を支える骨も吸収してしまうこともあるので、歯を動かすには時間をかけて許容される力で動かす必要があります。
したがって、治療期間が長くなるのです。
●④見た目や発音
マルチブラケットなどの矯正器具は一般的には歯の表面にセットする場合が多いです。それゆえ、パッと見てすぐに矯正しているかが分かってしまいます。その他に、器具があるせいで発音がしにくい時があります。
〇マスク生活を逆手にとって
最近はマスクをつけての生活に慣れてきた方が多いとおもいます。その様な方の中で矯正を考えているのであれば、矯正治療中の見た目のデメリットはマスクがあるので気にならなくなります。
マスクをつけた生活を逆手にとって、矯正治療中のデメリットを避けられる可能性があります。
〇まとめ
歯科矯正治療は長い目で見ればメリットの多い治療だと思います。
見た目が悪く歯並びを変えたい方、歯の位置が不自然で磨きにくい方など人によって様々なコンプレックスがあります。
矯正治療はそれらを改善させることができる手段かもしれません。最近はマスク生活が当たり前になり、人前でマスクを外さないことが多くなったと思います。
矯正治療中の見た目が気になり、治療に踏み出せなかった方もこの機会に検討するのはいかがでしょうか。