こんにちは
歯列矯正と聞くと、どのようなイメージを抱かれますか?
歯の表面につけたブラケットという金具とブラケットに通したワイヤーを使った歯列矯正でしょうか。
中には、ヘッドギアという矯正装置をイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、そんな歯列矯正のイメージを一新する画期的な歯列矯正があります。
それが、インビザラインというマウスピース矯正です。
そこで今回は、インビザラインについてお話しします。
〇マウスピース矯正とは
まずはマウスピース矯正についてお話しします。
●マウスピース矯正とは
マウスピースを矯正装置として利用する歯列矯正です。
マウスピース矯正に使うマウスピースをアライナーともよぶことから、アライナー矯正とも呼ばれています。
マウスピースを使って歯を移動させるコンセプトは以前からあったのですが、従来からのワイヤー矯正の利点に勝るものではなかったので、メジャーではありませんでした。
ところが、アメリカでインビザラインが開発されて以来、その優れた特性からマウスピース矯正の人気が高まり、ワイヤー矯正に迫るほどにシェアが拡大してきています。
●マウスピース矯正の仕組み
マウスピース矯正では、歯を動かしたい方向に移動させた状態を想定して、マウスピースを作ります。
このマウスピースを歯にセットすると、歯に一定方向の力(矯正力)が発生します。
歯は、矯正力の向かう方向に押され、少しずつ移動します。
歯が動いて矯正力がなくなったら、また同じようにマウスピースを製作し、歯につけます。
こうして、マウスピースを次々に一定間隔でつけかえていくことで、歯並びを整えていきます。
●マウスピース矯正のメリット
マウスピース矯正の最大のメリットが、マウスピースという取り外しできる矯正装置を利用しているという点です。
ワイヤー矯正のように歯に接着する矯正装置では、食事をすると食べ物は挟まりやすいですし、歯磨きしようにもなかなか大変です。
マウスピースなら、食事や歯磨きのときに取り外せるので、日常生活への影響が大幅に軽くなります。
●マウスピース矯正のデメリット
マウスピース矯正のデメリットととしてまず挙げられるのは、適応症の範囲です。
ほぼすべての歯列不正に対応できるワイヤー矯正と比べると、マウスピース矯正の適応症には限りがあります。
また、マウスピースの1日あたりの装着時間や交換タイミングを守らなければ、治療計画通りに治療が進まないというのもデメリットと言えます。(ワイヤー矯正のように装着しっぱなしではないので)
〇インビザラインとは
インビザラインとは、アメリカのアライナー社が1990年代の終わり頃に開発したマウスピース矯正です。
コンピューターによる歯の移動のシミュレーション、マウスピースの自動作成など、当時、世界初となるテクノロジーがふんだんに投入されました。
一般的な歯列矯正では得られない優れた特徴により、インビザラインは世界的にシェアを大幅に広げています。
我が国にも15年ほど前に導入され、年々、利用者が増えています。
〇インビザラインの特徴
インビザラインには、他社のマウスピース矯正にはない優れた特徴が数多くあります。
<h3>目立ちにくい
インビザラインのマウスピースは、スマートトラックという新素材で作られています。
透明度がとても高く、そして0.5mmという極めて薄い厚さに仕上がっているため、歯につけていてもほとんど見えません。
<h3>取り外しやすい</h3>
従来、マウスピースは矯正力を発揮しようとすると歯にタイトに密着させなくてはならなかったので、取り外しが大変でした。
インビザラインのスマートトラックで作られたマウスピースは、硬さと同時にしなやかさも実現しています。
このため、歯に密着し矯正力を適度に発揮しながらも、取り外しが簡単になっています。
●3Dシミュレーションソフトによる治療計画の作成
インビザラインの特徴のひとつが、クリンチェックという3Dシミュレーションソフトによる治療計画の作成です。
インビザラインには過去に行った矯正治療の膨大なデータがあります。シミュレーションソフトにはそのビッグデータが生かされており、
このソフトウェアを使うと、歯がどのように移動し、将来どのような歯並びになるのかを見える化して示してくれます。
患者さん側だけでなく、歯科医師側も治療計画がわかりやすくなっています。
また、コンピューターの診断なので、偶然的な間違いも起こりにくい利点もあります。
●マウスピースの自動製作
インビザラインでは、クリンチェックによる治療計画に従って、マウスピースを自動的に製作します。
従来のマウスピースは、歯科医師や歯科技工士などの人の手によって作られていましたので、製作上の誤差が避けられませんでした。
インビザラインでは、マウスピースを自動的に製作することで、従来と比較にならない高い精度でマウスピースを仕上げることが可能になっています。
●細かな歯の移動が可能
インビザラインのマウスピースは、厚みが0.5mmしかありませんが、歯にしっかりとフィットするように作られています。
このため、0.25mm単位という非常に細かな歯の移動が可能になりました。
一般的なマウスピース矯正では1mm単位、従来型のワイヤー矯正でもここまでの細かな歯の移動はできません。
細かく歯を移動させることができるので、精密な歯並びだけでなく、歯を移動するときの痛みも和らげられています。
●通院間隔が長い
インビザラインのマウスピースは、クリンチェックによる治療計画に従って製作されます。
クリンチェックでは、歯の最終的な位置関係までシミュレーションしていますので、治療の各段階での歯並びもシミュレーションできます。
インビザラインではマウスピースを将来の交換用の分も含めて一度に製作するので、何回か分あらかじめ渡しておけば、通院の回数も減らせます。
●アタッチメントによる適応症拡大
マウスピース矯正は、マウスピースが歯をしっかりとつかまなければ、矯正力が発揮しにくくなります。
このため、歯の形や向きによっては治療が進みにくいこともあります。
また、埋もれている歯を引き出す、反対に出過ぎている歯を下げるような動きも苦手です。
インビザラインでは、アタッチメントという小さな突起物を歯の表面につけることで、元来マウスピース矯正が苦手とするこのような歯の移動にも対応し、適応症を拡大しています。
〇まとめ
今回は、インビザラインについてご紹介しました。
インビザラインは、取り外しができるので食事や歯磨きなどの日常生活に影響がほとんど出ないマウスピース矯正の一種です。
そしてインビザラインは、3Dシミュレーションソフトの導入による歯列矯正のデジタル化の先駆けとして知られています。
インビザラインはデジタル化を進めた結果、インビザラインのマウスピースには
①透明度が高く薄いので目立ちにくい
②取り外しやすいしなやかさを有する
③自動製造による精度の高い仕上がり
④他社の追随を許さない細かく精密な歯の移動
という優れた特徴が備わり、その優秀さから世界トップクラスのシェアを有するに至りました。
ただ、3Dシミュレーションソフトを利用するといっても、治療計画の元となる診断を下すのは、やはり歯科医師である人間です。
インビザラインには、一般的な歯列矯正とは異なる専門的な知識に加え、治療経験が不可欠です。
当院はそのどちらも備わった歯科医院です。
インビザラインについてご興味のある方は、当院でぜひご相談ください。