〇インプラントオーバーデンチャーって何？
インプラントと聞くと多くの方が想像しやすいのは、顎の骨にネジを入れて被せ物を入れる治療だと思います。 確かにこの方法もあります。 しかし、多くの歯を失っている場合には、インプラント治療で被せ物を連結して入れる方法は非常に難しく、高額な治療になります。 一方で、インプラントを数本入れて入れ歯の安定に役立てる治療法があります。 入れ歯の安定のためにインプラントを入れてその上から入れ歯を入れるものをインプラントオーバーデンチャーと呼びます。インプラントオーバーデンチャーと保険の入れ歯を知るうえでそれぞれの特徴を確認しましょう。
●一般的な入れ歯の特徴
特に下の総入れ歯は安定しにくく、動いてしまうために痛みが生じやすいことがよくあります。 の入れ歯は作成が難しく、舌があり入れ歯が浮き上がりやすく、口を開け閉めする際にも顎全体が動くので入れ歯もそれに伴い動きやすくなってしまいます。 また、下顎の歯茎の土手は吸収が大きいと入れ歯を入れるというよりも、入れ歯を乗せる状況に近くなり安定が得られにくいです。 仮に土手が平らに近い状況であったとしても、そこにインプラントを入れることが出来れば入れ歯を安定させることができます。
●インプラントオーバーデンチャーの意義
一般的なインプラント治療と異なり、インプラントを入れ歯の安定に用いるインプラントオーバーデンチャーは非常に有用です。 被せて治す治療よりもインプラントを入れる本数が少なくて済むので安く治療費を抑えることができます。 また、入れ歯を使用することが冠を被せて治療するよりもむしろ良い場合があります。 例えば唇の突出感や顔貌の回復などです。 これらは冠を被せて治す治療では補いきれない場合があります。 入れ歯には歯茎の部分があるので、その部位が見た目の改善に寄与することがあります。 あえて入れ歯を選択することがあることも知っておきましょう。
〇アタッチメントの種類
入れ歯の安定に寄与させるためにはインプラントの上のネジの頭に入れ歯の安定に働く構造物をつけます。これをアタッチメントと呼びます。 アタッチメントにはいくつか種類がありますが、一般的なものをピックアップします。
●アタッチメントの種類①ロケーター
ロケーターはインプラントオーバーデンチャーの中でよく使われるようになってきています。 装置も簡便で仮に壊れたとしても取り替えが容易です。 イメージとしてはボタンです。 入れ歯を入れる時にロケーター部分と入れ歯のロケーターに一致する部位がパチっと嵌まる感じになります。
●アタッチメントの種類②マグネット
マグネットはいわゆる磁石です。 インプラントの方に金属を入れて、入れ歯の方に磁石を埋め込んでおくことによりパチっとくっつきます。 基本的に入れた当初の維持力を持続します。 MRI検査を行う際には磁気を帯びた物を入れることができないので注意が必要です。
アタッチメントの種類③バー
バーアタッチメントは2本のインプラントの間を橋渡しするように金属で繋げたものを指します。入れ歯にはその部位を挟み込むような装置が組み込まれるので、そこでしっかりと把持して入れ歯が動きにくいようにします。金属を多く使うので他のアタッチメントよりも高額になりやすく、最近では上2つが多く使用されるので使用頻度は少なくなっています。
〇保険の入れ歯と比較したメリット・デメリット
保険の総入れ歯とインプラントオーバーデンチャー（総入れ歯でアタッチメント付き）を比較してみたいと思います。
●保険の入れ歯のメリット・デメリット
メリット
①安い
②外科処置が基本的にはない
③インプラントを使用しないので比較すると治療期間が短い
デメリット
①痛みや安定が得られにくい
②大きな入れ歯になりやすい
が挙げられます。
メリットとしては、保険治療で行うことが可能なので安く済ませることが可能です。 インプラント治療は外科処置を伴ってしまい、その部位の治癒を待つことがあるので治療期間も長くなります。 デメリットとして入れ歯の安定が得られないことや痛みが続く場合があります。 また入れ歯を安定させるためには、面積を広くして吸着させるようにします。 しかし、中には入れ歯を入れると気持ちが悪くなってしまう方もいます。 そういう場合には入れ歯の面積を小さくして対応するのですが、安定が得られにくくなり、吸着しにくくすぐ外れる入れ歯になることがあります。
●インプラントオーバーデンチャーのメリット・デメリット
メリット
①入れ歯の安定が得られやすい
②入れ歯の大きさを小さくすることができる可能性がある
③既存の入れ歯に組み込むことが可能な場合がある
デメリット
①保険治療ではない
②外科的な治療をする
③アタッチメント部位で入れ歯が壊れる可能性がある
が挙げられます。
メリットとしては入れ歯の安定に繋がり痛みの軽減が行えることです。 動きにくい入れ歯は食べ物を今までよりも咬むことが可能になるでしょう。 また入れ歯の大きさを小さくすることが可能かもしれません。 入れ歯で気持ち悪くなる方の場合には入れ歯を小さくしますが、入れ歯の安定をアタッチメントで担保できるので入れ歯を小さくしても外れにくくする事が可能になる場合があります。 また総入れ歯を使用中の方は現行の入れ歯を修理してインプラントオーバーデンチャーにすることが可能な場合があります。 興味があれば相談してみてください。
デメリットとしては外科的治療が伴うので治療期間と費用がかかることです。 また注意事項としてはアタッチメント部位は入れ歯の材料が薄くなりがちです。 その部位にヒビが入り割れることがあります。 噛み合わせが強い方や噛む力が強い方には起こりやすいでしょう。
〇まとめ
インプラントオーバーデンチャーについて少し理解が深まったでしょうか。 外科的な治療があり費用がかかるので少し躊躇してしまうかもしれません。 しかし、入れ歯の安定には大きく役立ち、今までよりも快適に入れ歯を使用することが可能になるかもしれません。 興味があればまずはかかりつけ歯科医、もしくは近くの歯科医院に相談してみてください。
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