残根のまま放置している方残根状態にしたままでいることは、臨床上少なくありません。      あえて残す場合もあれば、腫脹や疼痛の原因となり得るため抜歯をすることもあります。      今回は状況によってどのような使い方があるか、または抜歯をすべきなのかを説明しています。   どちらの場合でも歯医者に定期的に診てもらう必要があります。

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〇歯の残根

まず歯の残根とは何かお話させていただき、歯の残根の原因もご紹介します。

●歯の残根とは

歯は歯の頭(歯冠)と根(歯根)の部位に分けることができます。

何らかの理由で歯冠がなく、歯根だけが口の中に残っている場合を残根と呼んでいます。

普通は歯冠がしっかりと残っているはずですが、あえて歯根のみ残すことが臨床では時々あります。

歯の残根を残すことに対しては利点と欠点がそれぞれあります。

まずはどうして残根になってしまったのかを確認することから始めましょう。

●歯が残根になる理由

歯が残根になる理由として考えられるものには4つの理由があります。

①虫歯が大きくなり、歯冠がなくなってしまう場合

②元々被せ物が入っていた歯の冠が取れてしまい残根になる場合

③転倒などの外傷により歯冠が破折して残根になる場合

④治療を行なっているがそれ以上の治療が困難な場合

以上が理由として考えられます。それぞれを確認してみます。

●歯が残根になる理由①虫歯によるもの

一番イメージがしやすいものは虫歯によって歯が崩壊してしまい、歯根だけが残る場合ではないでしょうか。                                           虫歯は放置しておくと歯の質が脆くなります。                         長期間放置しておくと小さく欠けるだけでは済まず、歯冠が全て折れることがあります。      虫歯は痛みなく進行してしまうこともあり、そのような場合においてこのようなことが起こりえます。

●歯が残根になる理由②被せが取れることによるもの

元々被せ物が入っている歯は、神経をとってしまっている場合が少なくありません。        そのような歯はいわゆる差し歯になっていることが多いのです。                 差し歯は歯根に土台を立てて、その上に冠を被せています。                   したがって土台から被せ物が取れると、残根状態に一時的になります。

●歯が残根になる理由③店頭などの外傷によるもの

高齢になるにつれて、足腰が悪くなり時として転倒してしまうことは少なくありません。      手を出して受け身を取ることができれば良いのですが、咄嗟のことで顔を地面に打ってしまう事があります。                                           その場合には前歯は破折しやすいです。                            歯の破折により残根となることがあります。

●歯が残根になる理由④治療が困難な歯

残根になっている歯は根管治療(歯の根の治療)をする場合が多いです。             そのような場合において、なかなか治療による改善が見込めないことがあります。         例えば、根の中から出血や膿が出ている歯や歯にヒビが入っている歯などです。           このような場合は冠を被せても痛みが出る場合が多く、被せられないことが多いです。       一般的にはこのような歯は抜歯になるのですが、全身状態から抜歯ができずにあえて残根のまま残していることもあります。

残根になる理由を確認してきましたが、残根に一時的にしているだけなのか、そうでないのかは残根の状態に左右されます。                                     一般的には冠を被せて治療をすることが多いです。                       しかし、そのまま残根にしている場合には理由があるかもしれませんので、気になる方は一度歯医者に相談しましょう。

〇残根のメリット

残根を残すのにはいくつかのメリットがあります。

①入れ歯の安定に役立てることができる

②骨の吸収を抑える

③抜歯を避けるので心身的な負担が低い

それぞれを確認します。

●残根のメリット①入れ歯の安定に役立てる

残根を残すことによって磁石などを入れ歯に組み込み、入れ歯の安定に役立てることがあります。  入れ歯は歯茎(粘膜)で主に支えるのですが、残根部は大きく沈み込むことがないので入れ歯の安定や沈み込みを防止する働きを期待できます。

●残根のメリット②骨の吸収抑制

元々歯を支えるためにあった骨は、その歯がなくなると徐々に失われてしまいます。        顎の骨が失われると、入れ歯であれば入れ歯を安定させるための土手が少なくなることを意味します。残根でも残っている場合には、局所的に骨の吸収を抑えることが可能となります。          したがって、あえて残根を残すこともあるのです。

●残根のメリット③身体への影響

残根がある方は比較的高齢の方が多いと思われます。                      そのような方の場合は全身的に持病がある場合や様々なお薬を飲んでいる場合があります。     全身疾患の兼ね合いから抜歯が困難になっていることがあります。                無理に抜歯を行うと体への影響が大きいことがあるので、残根周囲の痛みや腫脹がない場合にはあえて抜かないことを選択することも可能です。

〇残根を残すことのデメリット

残根を残す場合にはメリットだけでなくデメリットもあります。                 どのようなことがあるかを確認しましょう。

①痛みや腫れの原因になる

②汚れが溜まりやすく不潔になりやすい

デメリットの最大理由は汚れやすく痛みや腫れの原因になることです。              口の中には細菌が多く、ただでさえ汚れやすいところに残根のような場所は汚れが付着しやすいのです。                                            汚れが付着しやすい場所は痛みや腫れの原因になり得ます。                   綺麗に清掃できれば良いのですが、個人の清掃状態にも左右されるところです。          上手く磨けていない場合や痛みや腫れの頻度が多い場合には抜歯となることも珍しくありません。

〇まとめ

残根について確認してきました。                               残根はさまざまな理由から起こりえる状態です。                        治療については、残して役立てることが可能であればわざと残す場合があります。         しかし、汚れが付着しやすいため痛みや腫れの原因になりやすいことがあります。         あまり状態が良くない場合には抜歯になることは覚えておきましょう。              自分の口の中に残根がある場合には、歯科医院で確認してもらい残すべきか抜歯をすべきかを確認してもらうようにしましょう。