電動歯ブラシの使用をした方が良いのかという疑問は患者さんから比較的よく聞かれる質問です。 結局のところ手磨きであっても、電動であっても上手く磨けていればどちらでも良いのですが、電動歯ブラシを使用しているからといって上手く磨けていない方もいます。 電動歯ブラシについて知識の確認をしてもらうように注意を促しています。
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〇8020達成率
突然ですが、どの程度の人が歯を多く残すことができているか知っているでしょうか。 国が行う統計の中に歯科疾患実態調査というものがあります。 これは5年毎(平成23年同調査までは6年毎)に調査をするもので、歯磨きをする回数や歯や歯肉の状況などを調査しているものです。 最近では令和4年(2022年)に調査したものがあります。 この調査から80歳で20本以上の歯を持つ人の割合は51.6%ということがわかっています。 歯を磨く人の割合も毎日2回磨く人が最も多く、全体で97.4%の人は毎日歯を磨いている状況ということが調査からわかっています。
●残っている歯が多くなるということは
歯科疾患実態調査からわかる通り、残っている歯の本数が高齢の方でも多くなってきていることがわかります。 一方で、歯は残っているが虫歯や歯周病になっている状態で残っている場合もあります。 歯が多く残るということは、歯科の2大疾患である虫歯と歯周病のトラブルが加齢とともに増える傾向にあります。 したがって個人で行うセルフケアが重要になります。 歯ブラシの選択も考える必要があるでしょう。
〇電動歯ブラシの種類
歯磨きをする人が多くなり、歯磨きに関心が高まりつつある中で気になるのは歯磨きの方法です。 歯科疾患実態調査では電動歯ブラシの使用などについては明記はありません。 しかし、歯科医院で定期的に歯のメインテナンスにくる方の中には電動歯ブラシの使用について質問が多く寄せられます。 電動歯ブラシの特徴として、どのような種類があるのかを確認しましょう。 電動歯ブラシにはその振動数によって音波ブラシや超音波ブラシなどがありますが、今回は比較的一般的な音波ブラシに焦点を当てていきます。
●電動歯ブラシの種類 形態の違い
電動歯ブラシにはいくつかの種類があり、選ぶのが難しいと思います。 形態も様々ある為に余計に難しく、値段も数千円のものから数万円のものまであります。 確かに高額のものは、振動数が高く効果的に歯垢を除去することができるかもしれません。 しかし、それは上手く歯に当てることができていればです。 どのようなものでも上手く使いこなせなければ、意味がありません。
音波ブラシの形態としては
①通常の歯ブラシと同じ形態
②丸型ブラシ
があります。
形態にはさほど違いはありませんが、付属品などには舌磨き用、歯肉マッサージ用などがあります。
●電動歯ブラシの種類 振動の違い
電動歯ブラシの動き方は各種メーカーが競ってより良いものを生み出しています。
例を挙げると
①手磨きで推奨されている動きを模したもの
②音波水流を使用したもの
③歯科医院で使用する清掃器具の動きを模したもの
などがあります。
どれもそれぞれ効果的に歯垢を落とすことができるので甲乙がつけ難いです。 実際に家電量販店などで実物を確認し、大きさや手に持った時の重さなどを確認した方が良いと思われます。 値段については各社に大きな差は無いものの、振動するモードの数や付属の清掃器具などにより左右されます。 特に注意したいのは、電動歯ブラシに共通することとして、ブラシを交換しなくてはいけないことです。 正規品ですと1本当たり数千円することも珍しくはありません。
〇電動歯ブラシの使い方
電動歯ブラシの注意点として、それ自体の使用方法が挙げられます。 折角良いものを購入しても、上手く使用できなければ効果が得られません。 一般的には音波ブラシは歯に当てた後にその位置を保持します。 ここが注意点です。 普通の手磨きであれば、1、2本に歯ブラシを当てて自分で動かす必要性があります。 しかし、電動歯ブラシは動かす役割をしてくれるため、自分で動かすと逆に上手く磨けなくなります。
●電動歯ブラシの歯への当て方
一般的な歯ブラシの当て方は
①頬側や唇側は歯の面に対して90度に当てる
②噛み合わせの面についても90度に当てる
③内側に関しては斜め45度、毛先は歯茎の向きに
これらが基本的な歯ブラシの歯への当て方です。 歯に当てる強さが強いと上手く振動ができず、汚れが取れないことがあります。 歯を磨くというよりも、歯にあてるという感覚で行うようにしてください。 磨いた後の歯を舌で触るとツルッとした感覚があれば大丈夫です。 ザラザラしていたり、ねばつく感じがしたりする場合には上手く取れていない可能性があります。
●電動歯ブラシで歯石は落ちる?
電動歯ブラシでは歯石は落ちるのかという問いについては、結論から先にいうと落とせません。 歯石は強固に歯にくっついていて、歯科医院で使用する器具でないと落とすことが困難です。 歯石を取ろうとして歯ブラシを強く歯に当てることをしてもかえって歯や歯茎を傷つけることになるのでやめましょう。 歯ブラシでは歯垢の除去はもちろん可能です。 歯垢から歯石に変わっていくため、歯石にならないように歯垢の段階で取り除くようにしましょう。 歯石になってしまった場合には歯科医院で取り除いてもらうようにしましょう。
〇まとめ
今回は電動歯ブラシの使用について確認してきました。 電動歯ブラシは上手く使いこなせれば非常に有効に歯垢を除去することができます。 しかし、上手く使えていなければ、手磨きでしっかり清掃できている方に劣ります。 一番良くないことは、電動歯ブラシを使用しているから清掃できていると思い込んでしまっている場合です。 上手く磨けているかどうか定期的に歯科医院で確認してもらうようにしましょう。 その際には自身の磨けていない部位とその磨き方を覚えて、自宅で実践するようにしましょう。