こんにちは

虫歯や歯周病の治療方針は、歯科医師の考え方によって差があり、歯科医院によって取り組み方が違います。

もし、主治医が提示した治療方針以外の方法で治療できないかと思ったとき、他の歯科医院に転院するというのも一つの方法です。

しかし、中には長年その歯科医院に通っているので、歯科医院をかえてまで新しい治療方針を知りたいというわけではないという方もいらっしゃることでしょう。

そのようなときにおすすめしたいのが、セカンドオピニオンです。

今回は、歯科におけるセカンドオピニオンについてお話しします。

〇セカンドオピニオンについて

まず、セカンドオピニオンについてご説明します。

●セカンドオピニオンとは

セカンドオピニオンとは、患者さんやそのご家族などが自ら希望して、治療の方法の選択などに関する主治医以外の意見を他の医療機関の医師や歯科医師に求めることをいいます。

したがって、同じ医療機関に勤める別の医師や歯科医師に意見を求めた場合は、セカンドオピニオンには当てはまりません。

主治医と別の意見を他の医療機関に求めるとなると、患者さん側としては、主治医との信頼関係を損ねるように思われるかも知れませんが、セカンドオピニオンは患者さん側の権利として認められていますので心配ありません。

●セカンドオピニオンに必要な資料

主治医以外の医師や歯科医師が、診療方針についてのセカンドオピニオンを行うには診療状況を記した資料が必要です。

具体的には、治療計画や検査結果、レントゲン写真などの画像情報です。

検査結果や画像情報だけなら、セカンドオピニオンを受けた医療機関でもそこで検査したりレントゲン写真を撮影するなどして得ることはできます。

しかし、それらをどのように判断し、それを受けてどのような治療計画を立てたかまでは分かりません。

このため、セカンドオピニオンにはこれらの資料が必要となるのです。

●セカンドオピニオンを受けるには

セカンドオピニオンを受けるには、患者さんご本人やそのご家族の方が、自ら希望しなければなりません。

●セカンドオピニオンを受けた後は

別の医療機関を受診し、セカンドオピニオンを受けたら、その結果を主治医である医師や歯科医師に伝えるために元の医療機関を再受診します。

そして、主治医はセカンドオピニオンを受けた患者さんご本人やご家族の方の意向を聞き、それを今後の治療計画に反映させることになります。

●セカンドオピニオンの費用

セカンドオピニオンの費用に関しては、主治医にご相談ください。

歯科に関しては、セカンドオピニオンは健康保険の適応外となります。

〇セカンドオピニオンで別の意見が出る理由

同じ病気でも、セカンドオピニオンを受けるとどうして違う意見が出るのでしょうか。

●個人差による違い

個人差による治療後の経過の違いで、セカンドオピニオンを受けると違う意見が出ることがあります。

一例を挙げて説明します。

現在の虫歯治療では、虫歯になったところを削って人工材料で埋める修復治療が行われています。

削って詰めるだけのこともあれば、神経をとって被せて治すということもあります。

虫歯が浅い場合は、もちろん前者の方法を選びます。

大抵の場合、痛みが出ることはないのですが、あまり多くない確率で痛みを感じることもあります。

浅い虫歯の場合、詰めた後に痛みが出ることはあまりないので、そこまで踏み込んだ説明をすることは稀です。

このため、患者さんが痛みが出た歯の今後の方針に疑問を抱くと、セカンドオピニオンを希望することになります。

浅い虫歯を詰めて治すのは一般的な治療法なので、セカンドオピニオンを受けても答えはほとんど同じなのです。

ところが、痛みが出た場合、「慣れるかもしれないので様子を見る」「神経を取る」というように意見が分かれます。

このように、個人差による治療後の経過の違いでも、セカンドオピニオンを受けると意見が分かれることがあります。

●歯科医師の考え方による違い

6年間の大学での教育を受け、歯科医師国家試験に合格して歯科医師として認められます。

その後は、どこで研修を受けたか、どのような治療に力を入れてきたかなどによって、専門知識や経験に差が生まれてきます。

例えば歯周病治療でも、歯周基本治療をしっかりと繰り返し行うことを重視する歯科医師もいれば、歯周基本治療で成果が得にくければ、抜歯や歯周外科治療に早く切り替えようという考え方の歯科医師もいます。

このように、病気の治療方針は、歯科医師の考え方に左右されることが多いです。

セカンドオピニオンで違う治療方針が助言される背景には、こうした事情もあるわけです。

●歯科医師の説明の仕方による違い

医師や歯科医師は、診断結果に基づいて治療方針を決めた後は、患者さんにそれを説明しなければなりません。

医師や歯科医師は、専門教育を受けてきましたから、専門用語は理解できています。

一方、一般の患者さんはそうではないので、専門用語をわかりやすい言葉に置き換えて説明をします。

ところが、専門用語の中には英語しかなく、日本語で表現することが難しい言葉もあります。

日本語ですら、普通には聞かない言葉もたくさんあります。

こうした難しい専門用語を噛み砕いてわかりやすくする過程で、表現方法に差が生まれます。

これも、セカンドオピニオンで違う意見が出る理由のひとつです。

〇まとめ

今回は、セカンドオピニオンについてお話ししました。

セカンドオピニオンは、患者さん側の権利として認められていますので、安心して希望してください。

セカンドオピニオンで、主治医の治療方針と異なる結果が示されることもありますが、どちらが正しく、どちらが間違っているということではありません。

あくまでも、セカンドオピニオンは別の医師や歯科医師の見解にすぎません。

主治医の医師や歯科医師が、セカンドオピニオンを受けた患者さんの意向を踏まえて、それを了承すれば大丈夫です。

当院でも、セカンドオピニオンを希望される方にはセカンドオピニオンをおすすめしていますし、反対にセカンドオピニオンを目的に当院を受診される方もいます。

不安を覚えながら治療を受けるのはよくないので、疑問や不安のある方は、ぜひ当院にセカンドオピニオンを受けるためにお越しください。