【目次】

・歯科治療の時に麻酔をしても痛みが出るのはなぜ?

・歯科治療の時に麻酔をしても痛みがあるときの対処法

・まとめ

〇歯科治療の時に麻酔をしても痛みが出るのはなぜ?

ワンポイント

骨の厚みや硬さ、麻酔をする予定部位の炎症状況によって麻酔の効きやすさは左右される

 歯科治療を受ける際にされたくないものの代表に麻酔があると思います。誰にとっても嫌なものですが、治療においてやらなくてはいけない場面も多々存在します。

例えば、

虫歯が大きい場合、歯の神経の治療をする場合、歯を抜く場合などが挙げられます。

麻酔をすれば基本的にはその後の治療は痛みを伴わないはずなのですが、時として痛みが出てしまう時があります。

どういった場合が考えられるかを見ていきましょう。

●①骨の状態

体格の良い方や顎の骨が硬い方などは骨が厚く、しっかりとしているために麻酔が効きにくいことが少なくありません。特に下顎の奥は骨が硬く一般の方でも時として麻酔が効きにくいことがあります。

下顎の奥歯の虫歯の治療を行う際は麻酔が効きにくいことを覚えておきましょう。

●②炎症の状態

虫歯がひどく痛みを伴っている場合や歯茎が腫れて痛みが出ている場合などは麻酔が効きにくいことが知られています。

強い痛みが出ている場合は、その部位のpHが酸性になっている状態です。

麻酔薬は酸性の環境下では効果が発揮しにくいという特徴があります。従って、痛みが強い場合には麻酔が効きにくいのです。

その他に炎症が強い場合には麻酔時の痛みが普段よりも感じやすく、麻酔が効いたとしても麻酔が切れる時間も早くなります。

●③アルコールや薬の服用

アルコールや薬を服用される方も麻酔が効きにくいことが言われています。

薬などを服用する時には肝臓で薬などを分解するのですが、酵素が働いて分解を行います。

日頃からアルコールや薬(特に抗うつ薬や向精神薬など)を服用される方は酵素が多く存在し、麻酔薬や鎮痛薬が効きにくくなることがあるようです。

 

①~③これらが、麻酔が効きにくくなる代表事例です。

麻酔をしたのに治療中に痛みがあったことを経験された方の多くはこれらに該当する場合が多いと思います。

体格や炎症の状況などは比較的わかりやすいですが、アルコールや薬の服用状況は患者さん本人でないと分からない情報になります。お薬手帳や薬の服薬情報は治療前に事前に歯医者に伝えるようにしましょう。

〇歯科治療の時に麻酔をしても痛みがあるときの対処法

ワンポイント

麻酔薬の量を多くする場合や麻酔をする場所や方法を変える場合がある。時として強い痛みの場合には一度炎症を抑える対策をしてから再度治療に臨む場合も

 今までは痛みが出る場合をみてきましたが、実際に痛みが出た場合にはどう対応しているのかをみてみましょう。

患者さんにおいては素直に我慢せず痛みがあることを訴えた方が良いです。

歯医者は痛みを知覚できません。

実際に治療している患者さんの体の動きや表情からでしか判断できません。

また、痛みがあるからと急に動いてしまうと治療器具が頬や唇などを傷つけてしまう恐れがあります。

痛みが出てきたと思ったら、手を上げて反応するなどの方法をとりましょう。では、痛みが出た場合に歯医者はどのように対応しているのか確認していきます。

●麻酔薬の量を増やし、麻酔を打つ場所を変える

麻酔をしても痛みがでている場合には、痛みを伝える神経に麻酔が効いていないことを意味しています。

そのため麻酔の量を増やして麻酔が効くかを試します。

一般的に麻酔をする時には効かせたい部位の周囲、歯であれば歯の根の先周囲に麻酔をすることが多いです。

それ以外の方法として歯根膜といって歯と歯茎の境に打つ方法(歯根膜内麻酔)や虫歯が大きくて神経の治療をする場合では歯の神経に直接麻酔を行う方法(歯髄腔内麻酔)といったものが存在します。

これらの方法を行うことにより、一般的な麻酔よりも効果が得られることがあります。

●麻酔の方法を変える

普段よく行う麻酔は局所麻酔の中の浸潤麻酔という方法で行います。

これ以外にも伝達麻酔という方法があります。歯の神経に分布する神経は歯の根の先の方でそれぞれの歯に存在していますが、それらを辿ると太い神経に行き着きます。

下顎の場合には下歯槽神経という太い幹があるのですが、その周囲に麻酔を効かせることにより末端に麻酔を効かせる方法です。

通常麻酔をする場所よりかなり奥まった場所に麻酔を行うので驚くかもしれませんが、そのような方法もあります。

●炎症を抑える処置を行う

例えば炎症が強い歯を抜く予定の場合には、一旦炎症を抑えてから抜歯をします。

炎症が強い場合には、麻酔の効きが悪く抜いた後の予期せぬ副反応が起こる場合があります。

血が止まりにくくなる場合や腫れが強く出るなどの局所の症状もありますが、時として全身に影響を及ぼすことがあります。

従って抜歯前に炎症を抑える消炎処置を行うことが多いです。多くは抗生剤や痛み止めの服用を行ってもらい、その後に抜歯を行うことになります。

 これらが歯医者における麻酔が効きにくかったときの対処法です。麻酔薬を足す場合や麻酔を打つ方法を変える場合に体の不調があれば必ず言うようにしましょう。

〇まとめ

今回は麻酔をしても痛みが出てしまう時に考えられることや対処法について確認してきました。麻酔は行っても必ず効くとは限らないということは覚えておいてください。

もちろん患者さんが痛がるのは歯医者としても本望ではありません。可能な限り痛みなく、やってよかったと思ってもらえるように出来る限りのことは行います。しかし、薬を使用している以上用法用量があり、体への負担などを考慮して一旦中断することや後日に改めて治療を行うことも知っておきましょう。