〇治療と予防の必要性を再認識しましょう

会社の定期検診や入社時の健診、人間ドックなど全身的なトラブルがないか気にする方は多いと思います。                                            一方で歯科は痛みなど症状がなければ極力避けるという方が多いかもしれません。         歯科治療は痛い、怖いなど負の印象が強いことは確かです。                    しかし、放っておいてよくなるものではありません。                      たまに歯が痛んでいたが2、3日したら痛くなくなったという方がいますが、これは治っているのでしょうか?

●治療の必要性

歯科治療だけではありませんが、病気は早く見つけて早く治療した方が治りやすいのは想像しやすいでしょう。                                          病気と言っても歯科では虫歯と歯周病が治療の半分以上を占めます。                虫歯になって歯が痛くなることは良くあることです。                      しかし、ほとんど痛みを伴わずに虫歯が大きくなり、歯がボロボロになっていることもあります。  最初に問題提起していたのは実はこの様なことは珍しくないからです。              つまり痛みが落ち着いたからといって治ったということは言えないということです。        全く痛みを伴わず、違和感もなく虫歯は進行することは普通にあります。

●予防の必要性

治療が重要なことは分かっていても、治療が早く終わるようにそして大事に至らない様にするためには予防が重要です。                                      歯科において予防は自身で行うセルフケアと歯医者で行うプロフェッショナルケアに分けられます。 自身の口の中は見えるところもありますが、歯と歯の間、歯を支えている骨の状態などは自身で確認することは不可能です。                                    歯科医院で確認してもらう必要があります。                          検診をして何もなければ掃除をしてまた数ヶ月や半年などメインテナンスにすぐ移行できます。   仮に治療部位があったとしても、予防をしっかりと行っていれば、大事にならず治療も短期間で済むでしょう。

〇症状がないのに治療が必要になる?

歯科の2大疾患、虫歯と歯周病に注目すると症状がないことは決して珍しいことではありません。   特に歯周病に関して言えば、症状が出てからではかなり進行している可能性があると言えるでしょう。

●症状がないのに治療が必要になる? ~虫歯について~

虫歯は一般的に進行するに従って、しみる症状や痛みが出るということは想像がつきやすいと思います。                                            勿論この様に虫歯の進行に比例して症状が出ることもあります。                 しかし、虫歯が進行しているにも関わらず、症状がほとんどない場合があります。         痛みが出てからの治療では虫歯は非常に大きく、神経を取る治療を余儀なくされることもあるでしょう。                                            この場合には治療期間が詰めて治す治療よりも一般的に長くなることが多いです。         また、元々神経を取ってある歯は痛みが基本的には出ません。                  被せ物や詰め物をしてある歯では、それが外れるなどしてから歯科受診するという方もいます。    こんな状態では残っている歯が残せるかも怪しくなってきてしまいます。

●症状がないのに治療が必要になる? ~歯周病について~

歯周病は初期には症状がありません。                             あっても歯茎が腫れる、歯磨きの時に血が出るなどの症状です。                 ところが、進行していくと歯が揺れる、歯茎から膿が出る、口臭が強くなるなど自覚するようになり、他人からも気にされてしまうことになるでしょう。                        従って、症状がほとんどない、軽いうちに治療をすることが重要になります。            歯周病は虫歯と異なり全身的な疾患や個々人の口の環境、歯並び、噛み合わせなど様々な要因が絡む疾患です。                                          歯磨きをどんなに頑張っていても、歯周病になりやすい方もいます。               心配になったら現状を確認することから始めましょう。

〇歯科医院に行くのが良いか迷ったら

大雑把に病気には2種類あります。

①症状が出た時に対処すれば良いもの

②症状が出た時には大事になっているもの

です。

①は風邪などが挙げられます。いつなるかわかりませんし、日頃の体調管理が予防になります。   摂生により頻度は少なくすることが可能でしょう。

②は癌などが挙げられます。これもいつなるかわかりません。                  予防と言っても摂生することや適度な運動など健康管理が相当します。              ①と決定的に違うのは勿論命に関わるという点もありますが、放っておいても良くならないどころか悪化していくという点です。

歯科における疾患はどちらかと言えば、②に近いものがあります。                   虫歯も歯周病も放置して治るものではありません。                       放置すればどちらも最悪抜歯することになります。                       命までは取られませんが、歯を体の臓器の一つと考えるのであれば臓器を一つ取ることになります。 歯は親知らずを含まなければ、一般的には28本あります。                   しかし、どれも重要な役割があり、どこかを失えばその分必ずどこかに皺寄せがきます。      たった1本かもしれませんが、重要な1本です。                        何か気になることがあれば、間違えていてもいいので確認のために受診することをお勧めします。

〇まとめ

治療と予防の必要性や重要性という点から、症状の有無に関わらず歯科検診を受ける方が良いということがわかったでしょうか。                                  基本的な予防は歯科医院で行う検査とクリーニングになります。                 もちろん普段自分で行うクリーニングも重要になります。                    セルフケアと定期的なプロフェッショナルケアで自身の口の環境を整えましょう。         もしも普段と違う感覚、気になることがあれば歯科医院に受診する様にしましょう。