みなさん親知らずと聞くとどのようなイメージがありますか?親知らずは抜かなければならないと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は親知らずの扱いについて解説します。

〇親知らずとは

親知らずとは、通常、奥歯の一部である第三大臼歯(第三大臼歯)のことを指し、智歯ともいいます。一般的に、上下の左右それぞれに計4本の親知らずがあります。                  これらの歯は通常、口の中で最後に生える歯であり、多くの場合、10代から20代にかけて成長し始めます。

親知らずは、他の歯に比べて位置が奥にあり、場合によっては正常な位置に成長しないことがあります。

親知らずで多いトラブルは、智歯周囲炎と虫歯です。

智歯周囲炎とは、親知らずの周りに食べかすなどがたまって歯垢となり、細菌が増殖して炎症が起こることです。

虫歯も同様に、親知らずは奥にあって歯ブラシやフロスが届きにくいため、食べかすがたまってしまうことが原因で起こります。

親知らずは一番奥に生えているため、自分で見ることができないことが多いです。         必ずしもトラブルになるわけではないですが、                         自分の親知らずの状態がどうなっているか気になる方はぜひ一度当院で親知らずの状態を診察させてくださいね。

〇親知らずを抜くべきタイミング

親知らずに問題が起きたときは抜歯になることが多いです。親知らずは1番奥にあって磨きにくく、将来的に虫歯や歯周病になりやすいので、将来的なリスクや患者さんの負担を考えると、治療をするよりも抜くほうが良いケースが多いのです。抜歯になるタイミングは大きく分けて以下のものがあります。

●痛みや不快感

親知らずは痛んだり、腫れたり、または他の不快な症状を引き起こす場合があります。       親知らずが生えてきていなくても、隣の歯の影響などで顎の骨の中で膿のかたまりができていることもあります。                                         そのようなときは抜歯になることが多いです。

●異常な場所に生えてきた

親知らずは生えてくるスペースがせまいと、正常な位置に成長してこないことがあります。     また、せまいスペースに無理矢理生えることで、隣の歯に圧迫をかけている場合もあります。    スペースがせまいことで生えることができずに、歯茎の下の骨の中に埋もれたままでいることもあります。                                            これらの場合、抜歯が必要になることが多いです。

●感染と炎症

親知らずが虫歯になったり、親知らずのまわりの歯ぐきが感染して炎症を起こしているときは抜歯が考慮されます。                                        痛みの急性症状があって大きく腫れているときは、腫れが落ち着いてから抜歯することが多いです。

●歯並びへの影響

親知らずが他の歯に圧力をかけて歯並びに悪影響を与える場合、抜歯になります。            下の親知らずは隣の歯を押すように横向きに生えてくることがあります。

また、矯正治療をはじめるにあたって、将来的な歯並びに影響があると判断された場合は、特に症状がなくても抜歯になることもあります。

〇親知らずを残すべきタイミング

●正常な位置

親知らずが正常な位置に成長し、他の歯の邪魔になっておらず、口の中の問題を引き起こさない場合、抜歯は通常必要ありません。

●十分なスペースがある

口腔内に十分なスペースがあり、親知らずが他の歯に影響を及ぼさない場合、抜歯は必要ありません。

●年齢や健康状態

高齢者の患者さんや、抜歯手術がリスクを伴う場合、親知らずを抜かないことがあります。     ただし、その場合は患者さんの歯と全身の状態を定期的にモニタリングし、悪化しないように対処していきます。

また若い方で親知らずが成長途中の場合は、成長が終わるまで経過観察をすることがあります。

●移植する可能性がある

親知らずは噛み合わせに関わっていないことが多いです。                    このように機能的に必要がない歯を、必要な歯を失ったときのためのドナーとして移植するという治療法があります。                                       将来的に抜けそうな歯があるとき、移植のために親知らずを抜かずにとっておくということもあります。

〇親知らずを抜く時の合併症

親知らずを抜くときには、いくつかの合併症が起こる可能性があります。

まず、外科的な処置をするため、痛みや腫れが伴う場合があります。               通常は2、3日でおさまりますが、一週間以上続く場合はドライソケットといって感染している場合がありますので、治療が必要になることがあります。

上の歯を抜くときは、上顎洞と呼ばれる鼻と繋がっている部分と近い場合、抜いた後に抜いた穴と鼻の穴が繋がってしまうことがあります。そうなると、上顎洞炎になる可能性があります。

下の歯を抜くときは、下顎管という神経に近い場合、抜くときに神経を傷つけてしまい、下唇に麻痺が残ってしまう可能性があります。

〇まとめ

親知らずを残すか抜くかは、患者さんの親知らずの状態によって変わってきます。         実際に診察し、レントゲンを撮ってみなければわかりません。                  自分の親知らずを抜くべきかどうか迷っている方はぜひ当院にご相談ください。