SPTは歯科について知識がある方でないと知らない場合が多いと思います。             普段リコールで来院されている方の中にはSPTで来院されている方もいると思いますが、       患者さん本人は知らないか分かっていない場合があるかもしれません。              月によってやっている内容が殆ど同じなのに支払額が異なり、                    疑問に思う方も中にはいると思います。                            今回はSPTについての基本を知っていただくことに重きを置いています。

メインテナンスと似て非なるSPT

SPTという言葉を知っている方は患者さんの中でも少数ではないでしょうか。            SPTはサポーティブペリオドンタルセラピーの略で歯周病安定期治療という呼ばれ方をします。    歯周病治療が終わった方の中で病状安定の状態になった場合、                  状態を維持するために行うものです。                             行うこととしては歯石取りや清掃、場合によっては噛み合わせの調整などを行うものです。     定期検診の内容と変わらないと感じる方が多いかもしれません。                 しかし、いわゆるメインテナンスとSPTは歯周病の状態が異なります

〇SPTってなに?メインテナンスとの違いと基本事項

定期的に歯科検診を受けている方はSPTをやっているのか、                    メインテナンスなのかということはわかりにくいかもしれません。                両者には定義があり、SPTは歯周病のポケット検査の結果4ミリ以上のポケットがあるものの炎症がない場合などに行います。                                     メインテナンスの場合は歯の動揺が生理的範囲内であり、                    ポケットが3ミリ以内など治癒の状態を指しています。                      SPTは病状安定、メインテナンスは治癒状態を指しているので両者には違いがあります。       受診して実際にやることは歯茎のポケットチェックや出血の有無、                歯石取りや機械を使用しての清掃など大きな違いがないことがあります。             しかし、SPTの場合は治療の意味合いがどちらかというと強くなります。              患者さんとしてもより注意して自分のお口の状態を維持させるようにしなくてはなりません。     歯周病治療には保険治療で認められている流れがあり、                     一定以上の回数の歯石取りなどは保険治療として認められなくなります。             それを避けるために継続したお口の健康維持管理を行うため、                   保険で認められている項目という認識を持っていただけると幸いです。

〇SPTって何?メインテナンスとの違いと基本事項 P重防との違い

SPTという単語の他に『P重防』というものがあります。                     P重防というのは歯周病重症化予防治療の略称です。                       これも昔はなかった保険制度です。                               2020年から始まった制度です。                                対象となる方は歯周病の病状が改善している方に対して行います。                全体の歯周ポケットが4ミリ未満であるものの、                        ポケット検査において出血などが見られた場合が該当します。                  重症化を予防するために歯石取りや清掃などを行います。                     行うことはSPTとあまり変わりがないと思われるかもしれません。                 しかし対象としている患者さんの違いやP重防を行う期間はSPTのそれと異なる点があります。    歯周病の状況が改善ではなく病状が悪化すれば、                         P重防からSPTに移行することがあります。                           その逆もあります。SPTやP重防のどちらになるかは患者さんの状況によるということです。

〇SPTって何? メインテナンスとの違いと基本事項 保険の改変

SPTは2022年に保険の改定がありました。                           もともとSPTは1と2に分かれていましたが、2022年4月から統合されました。           それに伴い保険点数の変化もあり、歯科業界では大きな変化として注目されました。         患者さん側の違いとしては通院している医療機関によって、                   そして治療内容によっては支払額が変わっているかもしれません。                歯科診療所によって『か強診』の認定がある所とない所があります。               『か強診』というのは『かかりつけ歯科医療機能強化型歯科診療所』を指します。         この認定を厚労省から受けている場合には、SPTの算定がやや高くなる可能性があります。      か強診とは地域と密着連携し、幼児から高齢者まで包括的な医療を提供していると認められた診療所を指します。                                         いくつかの認定項目を満たさないと認定されません。                       認められている歯科診療所は未認可の診療所よりもSPTの点数がやや高くなります。         実際には120点、点数が高いです。

その他に、別途歯茎の検査をしている場合はSPTの点数に加えて算定することが可能です。      したがって、費用がかかるパターンは『か強診』の認定がある歯科診療所においてSPTを行い、    歯茎の検査を行う場合です。                                 加えてレントゲンの写真などを撮影すれば負担金がいつもより増える場合があります。       歯茎の検査やレントゲンの写真は毎月やるわけではないことが多いと思います。          検査に妥当性があれば行うので、                               検査がある月はやや負担金が高くなると思っておきましょう。

〇まとめ

SPTという聞きなれない単語についての理解が少しできたでしょうか。               メインテナンスやP重防との違いにも少し触れてきました。                    SPTの治療内容としては歯周病の安定期治療なので基本的に大きな治療を行うわけではありません。  治療する月によってやることがほとんど変わらないのに支払い金額が増えたと思うことがあるかもしれませんが、保険治療の制度上そうなってしまうことがあります。                 患者さんとして金銭の負担が多くなると思われるかもしれませんが、               切れ目のない歯周病の管理を行うための治療費と思っていただけると幸いです。          ご自身がSPTの為に毎月もしくは2、3ヶ月に1度歯科医院に受診されているのであれば、      お口の維持管理はより注意深く行う必要があります。                      日頃から自身の口の状況を確認しておき、                           何か変だと思ったら早めにかかりつけ医に相談する様にしましょう。