◎歯がしみるのは、様々な原因がある
歯がしみると感じる時、多くの方は虫歯をまず思い浮かべるかもしれません。
もちろん虫歯も歯がしみる原因の一つになり得ます。
しかし、その他にも歯がしみる原因はいくつか存在します。
歯がしみる経験時にどのようなことが考えられるかについて、今回は話していきます。
◯虫歯によるもの
歯がしみる程度の虫歯になっている場合はやや大きく虫歯になっている事があります。これは歯の構造から1番表層のエナメル質だけでなく、象牙質に虫歯が及んでいる場合です。もっとひどい時には歯髄(歯の神経)に近くなっている可能性さえあります。
一方でほとんど症状がなく進む場合もあるため、注意が必要です。
若年者の虫歯は入り口が小さく中で広がる虫歯になっている事が珍しくありません。症状があまりなくても、歯の中で大きく虫歯が広がっている事もあります。
◯知覚過敏によるもの
虫歯でなくても歯がしみる事があります。それは、よく知られる「知覚過敏」です。
知覚過敏の症状としてはお水など冷たいものでしみる事が一般的ですが、”その他にも甘いものや酸っぱいもの”でもしみる事があります。
よくある患者さんの訴えとしては、チョコレートや柑橘系の物を食べている時に症状が出るそうです。
知覚過敏は、歯茎が痩せて根の一部が見えるようになり、その部位がしみることで症状が出るとされています。
歯茎が痩せることの原因としては
①不適切な歯ブラシの使用法
②歯周病によるもの
③歯ぎしりなどの悪いクセ
などが考えられます。
◯何故歯茎が痩せていくのか
歯ブラシの使用方法については、ブラッシングの際の歯ブラシの当て方や当てる強さが問題となる場合が多いです。
強すぎる歯ブラシ圧は歯を削ってしまう可能性があります。
研磨剤入りの歯磨き粉を使っていれば尚更その傾向が強くなります。”くさび状欠損”と言って、歯と歯茎の境の部分の歯がくさびの様に凹んでしまう時があります。
くさび状欠損は不適切な歯磨きが原因の一つと考えられます。
歯周病に関しては、単に汚れだけが原因で起こる場合もありますが、様々な要因が絡み合い発症する場合があります。
歯周病の怖いところは、初期であれば痛みなどの症状があまり出ない点です。
歯は骨の中に埋まっていますが、歯周病になると歯を支えている骨や繊維が徐々になくなっていきます。すると歯茎にも変化が出てきます。初期段階であれば、歯茎に炎症が起きるため歯茎が赤く腫れます。歯磨きをすると歯茎から出血する程度で、痛みは殆ど出ません。
しかし、歯周病が進行すると歯茎が下がり、根の部分が見えてきます。
歯の揺れを感じたり口臭を感じたりします。
◯知覚過敏を抑制するには
知覚過敏を抑制させるには様々な方法があります。
個人で出来る事は知覚過敏を抑制する効果のある歯磨き粉を使用する事です。
ただし、歯に汚れがついている状態では効果が出ませんし、歯磨き粉を刷り込む様に歯に強く擦り付けるのは逆効果になる恐れがあります。
歯科医院で行う処置としては、知覚過敏を抑制する薬を塗る事が多くあります。これにはいくつか種類があります。また、1度で効果が出る場合もあれば、何度か塗って効果が出る方、残念ながら殆ど効果が出ない方もいます。やってみないと分からない事も多いです。
その他、くさび状欠損が大きく歯がしみている場合は、レジン充填を行う場合もあります。稀なケースでは、しみる症状が強くて息を吸うだけでしみる方もいます。その場合は生活に支障が出てきてしまうので、抜髄(神経を取る)する可能性も出てきます。神経を取ればしみる症状は無くなりますが、歯を削ってしまうので可能な限り避けたい治療です。
◯まとめ
歯がしみる原因は様々考えられる為、何故しみているのか確認する必要があります。
歯がしみるという事は、歯の神経が過敏になってきている事があります。慢性的に歯髄に刺激を受け続けた場合、歯の神経に炎症を起こす可能性も考えられます。歯の神経に炎症を起こすと何もしてなくても痛みが出てくることもあるので放置するのは望ましくありません。
前歯であれば鏡などで歯の状態を自分で確認できるかもしれませんが、奥歯であれば難しいです。原因を確認する為になるべく早めに歯科医院に受診して下さい。
また、歯磨きの方法が正しいかどうかも歯科医院で確認する事も大切です。磨いているのに磨けていない場合や磨き過ぎて歯や歯茎が傷ついてしまっている方も多くいます。
その場合は正しい歯磨き方法を歯科医師または歯科衛生士から学んで下さい。大人になってから子供の様に歯磨き指導を受けるのは気が進まないかもしれません。しかし、ご自身の歯を守るには1番と言って良いほど大切な事です。何か起こってからでなく、日頃から定期的な歯科受診も加えてお勧めします。